いよいよ事態は緊迫してきた。報道されている通り、イラク暫定政府は、クルド人自治区を除く
全土に60日間の非常事態を宣言*。米軍によるかつてない規模の掃討作戦が始まろうとしている。
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Yahoo News/
BBC /
アルジャジーラ 既に、イラク中部ファルージャでは、1万人を超える米軍部隊が街を包囲し、大型爆弾による激しい空爆が行われている。近く米軍部隊も市内に突入し、壮絶な殲滅戦が始まるだろう ・・・って、書いてるそばから、
突入が始まったという情報も。

ファルージャ攻撃の名目は、今回も「ザルカウィ」だが、
一つの街を叩き潰す前に、ザルカウィがファルージャにいるという明確な証拠を、米軍も暫定政府も、提示すべきだ。100歩譲って、仮にザルカウィが今までファルージャにいたとしても、既に避難した大多数の住民と共に、現在は市外へ避難しているだろう。ザルカウィの戦法は、自爆テロや誘拐であり、米軍と正面きって勝ち目のない戦いをする理由はない。
恐らく、現在ファルージャにいるのは、街を守るために残った現地の若者達によるゲリラ部隊と、避難したくてもできない事情を抱えた住民達だけであろう。そして地上戦の結果が米軍による一方的な虐殺となることは、火を見るより明らかだ。
いや、多分、
ファルージャにおける「ザルカウィ」はイラク戦争における「大量破壊兵器」みたいなものにすぎないのかもしれない。存在しようがしまいが攻撃の大義名分になれば、それで良いのだろう。今夏の現地取材で
「米軍や、暫定政府にとって、俺たちは皆ザルカウィみたいなものなんだろう」とファルージャの住民が言っていたことを思い出す。要するに、来年一月の選挙に向けて、米軍も暫定政府も自分の思い通りにならない地域を地図上から消し去りたいらしい。賭けてもいいが、
攻撃はファルージャに止まらないだろう。バクバ、サマラ、そしてバグダッドと、戦火はイラク中部を覆いつくすことになる。場合によっては今は比較的情勢が安定している地域でも、衝突が始まるかもしれない。
一つだけ確かなことがある。今回の軍事作戦によって、
来年1月の選挙は血に染まったものとなり、サダム独裁時代の選挙と何ら変わらないものとなるだろう。アナン国連事務総長が言うとおり、
選挙はやればいいというものではない。そこにいたるまでの過程こそが重要なのだ。米国もイラク暫定政権も今まで、どれだけ血を流さない努力をしてきたのか。対話を拒否し、連日のように非武装の市民に銃弾や爆弾を浴びせ、不信感を蔓延させただけでなかったのか。結果として過激な外国人武装勢力がのさばる温床を作っただけではないか。
米国のやっていることは、民主主義の概念自体を破壊することに他ならない。
最後に
日本国際ボランティアセンター在アンマン調整員の原文次郎さんが転送してくれたバグダッド市民からのメールを転載する。
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囚われのファルージャ by バグダッドの市民
誰もが、全てのものがファルージャで囚われの身になっている。女性、子ども、家族、歴史、人間性、そして平和が。そして世界は米陸軍部隊が市民を殺す様子、どんな軍用機が使われるのか、どんな兵器がファルージャで試されるのかをただ見ているだけだ。世界は死に体になっていて、いなかる感情も、反応も示さない。
あなたはファルージャが意味するものを知っていますか?それはこの世界のどの都市にも当てはまることです。それはヒロシマであり、カブールであり、ファルージャは人間性の漆黒の将来‐民主制と平和の名のもとに行われる殺戮を意味します。ファルージャはファルージャの人々のもとにあるものを意味するだけではありません。ファルージャはこんにちの世界のシンボルなのです。大魚が小魚を食べてしまうような世界の。
沈黙を保っていると、あなた方の街が、あなた方の歴史が次の番です。いかにして最新の技術が容易に無実の子どもたちや脆弱な人々を殺せるのかを見続けなさい。そして次はあなた方の番です。
誰でも、きょうの犯罪に否定的な立場を取る人々が、歴史と人間性の前に照らして、(あすには)この犯罪に手を貸す者になるのです。誰も臆病さやおびえを免罪にはしないのです。それが、シェイクスピアの言うところの「なすべきか、なさざるべきか」という問題なのです。
ファルージャはわれわれの嘆きを期待していません。ファルージャはすべての良心を呼び覚ますような強い叫びを必要としているのです。
(訳: 原 文次郎)
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画像は、「ザルカウィの拠点」として空爆された民家。だが、実際にはザルカウィがいた痕跡は見つからなかった。今年7月、ファルージャにて撮影。